皆さん、こんにちは!
7月のブログ投稿がなかったのですが、ほんと忙しくって・・・。
親しい人にそのことを話をしたら、それは言い訳だと、お叱りを受けました。💦
結構私の記事は長いので一本作るのに1時間以上かかるのですが、病院業務、他院への出張オペ、Facebook津田塾の活動、実家の高齢の母と田畑の管理などなど、休日らしい休日もなく、忙しさについつい流されてしまいがちですが・・・。そうですね、言い訳です。こちらのブログを読んで、お隣の愛知、三重、長野県からもお越しになる方も見えるので、1ヶ月に最低1本上げてゆくよう頑張っていきます!
ということで~~~、よくある歯の破折について、何回かに分けてアップしますね!


破折というのは一般的には、歯が折れている状態をいいます。単純破折と複雑破折に大きく分類されます。単純破折は象牙質が見えている状態。複雑破折は、歯髄(歯の中央部にある主に神経・血管からなる組織)が外から見えている状態です。下の写真は、一匹のワンチャンの右側と左側の写真ですが、破折を起こしている動物の口の中に、複数本の破折が見られることはよくあることです。
単純破折:画像では右上顎第4前臼歯(奥の方の一番大きな歯)
複雑破折:画像では左上顎第4前臼歯(奥の方の一番大きな歯で、先の方に穴が開いているのが分かりますか?

先に複雑破折から説明しますね。複雑破折を起こした歯には、赤いポッチが見えます。これは歯髄で、神経そのものです。虫歯で痛くて痛くて歯医者に駆け込んだことがある人なら、これが如何に痛いのかお分かりでしょう。もう、食事どころではないですよね。こうなっている側では、ワンチャンもモノを噛まない(噛めない)ので、噛んでいる側と比べると汚れが多いです。(写真は歯石除去した後なので、どちらも綺麗です。)複雑破折は、神経が見えていただけでなく、ここから菌が入ってゆき、この歯の先端から、体内に菌や毒素が漏れてゆき、こんな事態に発展することもあります!
痛々しい。左眼裂から血が出ています。。。頬に穴が開き、そこから膿や血液が出ることが多いですが、このようなケースもあります。
単純破折はどうでしょう?神経は見えていません。でも、象牙質には象牙細管という細い管が、エナメル質側と歯髄とをつなげているので、いろんな刺激でしみるんです。さらに、その象牙細管を通って、歯髄に細菌が到達することがあります。そうなったら、複雑破折と同じことになってしまいます。



絵で説明するとこんな感じです。象牙質にある線が、象牙細管です。
このように歯が折れる主な原因は、硬すぎるものを噛むことです。おそらく多くの方が、犬の歯は丈夫というイメージをお持ちでしょう。また、噛むことで歯が丈夫になるとか・・・。どうですか?実際はそうではないです。私たち人のエナメル質は2~3mmほどあるのに比べ、犬の歯のエナメル質は0.1~1mmと薄く、また、尖っていますので強度は低いです。また、噛むことで顎の筋肉の筋力はアップしても、歯そのものの強度は変わりません。ちょっと前まで、牛の蹄を乾燥させた物や、大きな豚耳、最近はなんとかチーズや鹿の角を噛ませている方のワンチャンの歯が折れているということで来院される方が多いかな。そういう硬いものを噛んでいれば、確かに全体的に歯は歯石は少なく一見綺麗ですが、折れてしまっては元も子もありませんよね。おやつにせよ遊ぶものにせよ、今与えているものが破折を起こすかどうかの見極めは、ご自身の手で、それを曲げてみてください。ぐにゃっと変形しないものは与えてはいけません。あれもこれもダメじゃん!って、飼い主さんによくがっかりされますが、そういうことが多くあります。
今日はこの辺で。
次回は、それぞれの病態を説明しますね。
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