今回は、6歳のミニチュアダックスフンド(避妊メス・体重5kg)の症例をご紹介します。




飼い主様のお話では、約2年前に歯石除去を実施していますが、「他院にて処置をしたその日から口臭が気になり始めた」とのことでした。
お家での歯磨きはなかなかさせてくれないそうです。
その後も口臭は持続し、今回「歯石や歯肉炎が気になる」という主訴で来院されました。
歯科検診
麻酔前に写真を撮って現在の歯の状態をおおよそで診察しました。この段階では抜歯の可能性がある歯が2本、SRP(スケーリング・ルートプレーニング)が必要と思われる歯が14本でした。
麻酔下検査・診断
全身状態を評価したうえで、麻酔下での口腔内検査を実施しました。
その結果、レントゲン上で歯周病が進行していると思われる歯はありましたが、抜歯が絶対に必要となる歯は認められませんでした。しかし、歯周病・歯肉炎治療が必要な歯が全体の約8割に及んでいました。
また、BOP(プロービング時の出血:歯肉の炎症箇所示す指標)も約64%と高値を示しており、口腔内で炎症が進行している状態でした。
治療内容
今回の治療では抜歯は行わず、SRPを実施しました。これは、歯の表面だけでなく、歯周ポケット内部に入り込んだ歯石やプラークを徹底的に除去する処置です。処置の最後には、歯周ポケット内へ抗生剤軟膏を塗布し、炎症のコントロールを行いました。
なぜ歯石除去後から口臭が出たのか?
今回のように、「歯石を取ったのに口臭が出るようになった」というケースは珍しくありません。
考えられる理由としては、
- 歯周ポケット内の歯石や細菌が取りきれていなかった
- 処置後のケア不足により、細菌が再び増殖した
などが挙げられます。
特に歯周病は、見えている部分よりも歯ぐきの中で進行する病気のため、表面の歯石除去だけでは改善しないことも多いです。
今後の方針
今回の症例では、抜歯が必要なほど進行している歯はありませんでしたが、口腔内の広い範囲で歯周病が進行している状態でした。
しっかりとした歯周病治療を行うことで、今後の進行を抑え、口臭の改善も期待できます。
しかし、歯周病というのは一度綺麗にしただけでは治療完了ではありません。日々の「ホームケア」をどれだけ頑張れるかが重要になってきます。
当院では個別の歯磨き指導も実施しており、麻酔下での治療以外のサポートも行っております。困っていること、悩んでいることがあればお気軽にご相談ください。
<術中の様子>







