今回ご紹介するのは、10 歳のトイプードルの女の子です。

この子は 3 年半前にも当院で歯科処置を行っており、その際には歯石除去と切歯数本の抜歯、そして 108 に CR 処置を行っていました。

その後、おうちでの歯磨きにも挑戦されていましたが、口を触られると怒ってしまうため、なかなか継続することが難しい状態でした。

今回、「口臭がひどくなってきた」とのことで、再度歯科診察を希望されました。

○歯科診察

覚醒下で口の中を確認すると、104,204 の歯肉が下がっており、特に左上の犬歯は抜歯が必要になる可能性が高いと判断しました。

また、108,208 に大きな歯石の付着が見られましたが、歯肉の下がりはそこまで強くありませんでした。

そのため、診察時点では「抜歯が必要そうな歯は 104 の 1 本、SRP が必要そうな歯は 16 本程度」と予測していました。

○麻酔下検査・処置

実際に麻酔下で検査を行うと、見た目だけでは分からなかったことがわかってきました。

臼歯は全体的に大きく悪くなっている歯は少なく、当初予想していたよりも SRP が必要な歯は少なくなりました。
しかし、臼歯に大きな歯石がついていたことで歯石が当たる部分の歯肉に潰瘍ができてしまっていました。

一方で、202,302 で歯髄腔が広く見え、歯が失活していることが確認されました。

そのため、覚醒下の診察で予想していたよりも、抜歯が必要な歯の本数は増えることになりました。

○まとめ

お口の中の病気は、外から見える歯石や歯肉の赤みだけで判断できないことがあります。

特に歯の根の状態や、歯の中の神経が生きているかどうかは、歯科レントゲンを撮らなければ分からないことも少なくありません。

「見た目はそこまで悪くなさそう」

「痛がってないし、ご飯も食べてるから大丈夫そう」

そう見えていても、実際には歯の根や神経に問題が起きていることがあります。

覚醒下の診察でも、ある程度の予測を立てることはできます。

しかし、正確に診断し、その子にとって本当に必要な処置を行うためには、麻酔下での歯科検査がとても大切です。

今回も、見た目だけでは分からなかった歯の異常を確認できたことで、処置が必要な歯を認識し、適切に処置することができました。

歯科処置は、歯石を取って終わりではありません。

見えている部分だけでなく、歯の根や歯を支える骨の状態まで確認し、その子にとって痛みや感染の原因になり得る歯をきちんと評価することが大切です。